金・銀価格の不正操作に大手銀行が関与

10.12.2016

Photo: bloomberg

 

 ドイツ銀行は4月に、金・銀の価格操作への関与を巡る訴訟で、和解金の支払いの他、共犯銀行に関する情報を提供することで和解した。提供した情報のなかには、複数の世界の大手銀行が不正操作に関与していたとする「決定的証拠」が含まれており、「カルテル」による市場操作が行われてきたことが明らかとなった。

 

 2015年から米司法省は金・銀市場での主要銀行による不正操作を捜査してきた。これまで決定的な裏付け証拠がないとして、不正操作の犯罪に関して銀行は刑事訴訟は見送られてきた。しかし、投資家や宝石業者による銀行への民事訴訟は行われてきた。

 

 今回、2014年に始まった投資家やトレーダーたちによる民事訴訟の和解条件として、ドイツ銀行は原告側に350,000枚以上の資料とトレーダー間の操作についての会話75本のオーディオ・テープを提供した。7日のニューヨーク南部地区連邦裁判で原告側はこれらを公表、不正操作が日常的で組織的に行われていたことを明らかにした。

 

 ドイツ銀行の資料によると、以下の銀価格の不正操作で市場を操作していたことが明らかになった。

 

・ドイツ銀行と他銀行の間(カルテル内)のインサイダー情報の共有

 

・銀行間で合意した価格を維持するために損益を無視して銀先物の購入・売却を行う

 

・「スプーフィング」(買いまたは売り注文を出し、直後に注文を取り消す)の慣行で市場に誤った需要供給状況の印象を与える

 

・  内密で非公式に銀行間で先物取引を行う、

 

・  顧客の注文に関する情報の共有

 

・  顧客の損切り注文を不適切な形で促す

 

 

 さらに、当初訴えられた銀行(ドイツ銀行、HSBC、UBS、バンク・オブ・ノバスコシア)の他に、バンク・オブ・アメリカ、スタンダードチャーダーズ、BNPパリバ・フォルティス、バークレイズ、ソシエテ・ジェネラルなどが不正操作に関与していたことが判明、原告側は追加訴訟を検討している。その他にも、現段階で特定できない不正操作に関与したその他の銀行、金融商品を扱う仲介業者、個人も追加訴訟の対象とされる可能性が高い。

 

 金利から通貨、株式に続き、金・銀の貴金属の不正操作を行ってきた金融機関は、一般投資家に意図的に不利、損失を与える犯罪行為を行ってきたといえる。「世紀の空売り−世界経済の破綻に儲けた男たち」、「マネー・ボール」、「フラッシュ・ボーイズ」などの著者であるマイケル・ルイス氏が述べるように、「全ての市場は操作されている」のが現状である。

 

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