欧州へ渡る移民の86%は経済的逃避

26.11.2016

Photo: RICOCHET

 

シリアを筆頭に中東の難民は戦争で生命を危険にさらされて欧州に避難したというのは間違いである。10,000人への聞き込み調査によれば、戦争から逃避してきた難民は全体のわずか13.7%にすぎない。ほとんどの難民は経済的理由、すなわち安定な就職先を求めて、欧州への移住を希望している。

 

これまで欧州難民の支援を訴える団体は人道的理由を掲げてきた。戦争で生命を危険にさらされた人たちが、自国を捨てて安全な欧州に移動するにのは身を守る権利によるとして、彼らの保護責任を訴えていた。調査はNGOの国境なき医師団が30年から欧州に渡った10,000人に対して聞き取り調査を行った。その結果、53%が経済的理由をあげ、20.5%が政治的要因で戦争を避けるための移民は13.7%しかいなかった。

 

 

国境なき医師団によれば難民の3.1%が自国に比べて健康管理が向上したのは3.1%にとどまるとして難民の健康が保証されることを要求している。健康上の観点からは移動によって環境が向上していない現状は、少なくとも健康上の理由での移住ではなかったことを示している。

 

国境なき医師団の提言は難民に欧州への移動の権利とともに国民に与えられると同等の健康を保証する必要があるとしている。また各国政府が移動の際に難民への暴力行為の禁止と安全保障を求めている。欧州難民の多くはメルケル政権が受け入れを容認するドイツを目指す。ドイツへの難民移動が最も多い。そのルートは下に示すようにギリシャからハンガリー、オーストリアを経てドイツ南部に至る陸路である。

 

 

Source: mapsmania

 

提言はまたダブリン規約(注1)を非難し、難民が欧州を移住先に認める権利が認められなければ将来、移民たちの精神衛生に障害が起こる可能性が高いと警告している。先進国がこれまで自国民を対象として展開してきた人道主義を逆手に取られた格好である。難民の健康問題もさることながら、難民たちが持ち込む感染症の脅威も警戒しなくてはならない。

 

現実には各国とも難民の数が扱える限界を超えている現在、実現不可能な要求となる提案である。酷寒となる冬季に入り食料支援がなくなれば暴動や略奪が起きる可能性が高い。とりあえずこの冬を乗り切ることが最重要課題となるが、その先も問題解決の糸口は見えてこない。

 

 

(注1)欧州への難民申請をEU加盟国がどのように処理するかについての規約。難民が最初に入国した国で難民申請が行われることを規定している。

 

 下の動画はスパーマーケットを襲う難民。