「大きすぎて潰せない」米大手銀行に不正行為

09.09.2016

Photo: market mad house

 

 米6大銀行の一つであるウェルズ・ファーゴと言えば、住宅ローンの不正、マネーロンダリング、「大きすぎて潰せない」銀行として知られている。同銀行の新たな金融犯罪2011年から始まり日常化していたことが9月8日に明らかになった。

 

 それらは顧客の許可なしの別口座や複数の口座を開設、クレジットカードやデビットカードの不正発行、銀行ATM使用の際に使う暗証番号やメール・アドレスの不正設定などである。不正口座による手数料やカード年会費の収入を増し、売上高を水増し、売上目標を達成してボーナスを受けとることが目的であった。

 

 

日常化した不正行為

 顧客の名義を使い、無許可で新しい口座を作り、無許可で顧客が正式に作った口座から資金を移したとされる。不正に開設した無許可の口座は150万件、クレジットカードの不正発行は565,443枚であった。不正に関与した行員は5,300人で、銀行内では「幅広く」行われていた行為と思われる。関与した行員は解雇され、銀行には罰金1億8500万ドルが課せられるとともに、顧客の補償には500万ドルが当てられることになっている。

 

 ウェルズ・ファーゴの総資産は米銀行の中では第4位であるが、時価総額は2500億ドルで最も高い。全米では39 州にわたり、6,200支店を持つ。大株主には、投資家のウォーレン・バフェット個人と会長兼CEOで筆頭株主である投資持株会社のバークシャー・ハサウェイが10%を所有して筆頭株主である。

 

 

カルフォルニア集団訴訟で訴えられる行員の不正行為

 

 5月にカルフォルニア州の顧客がウェルズ・ファーゴに対して集団訴訟を起こしている。顧客の許可なく、口座が開設され、「銀行の売上目標を達成するには手段を選ばない」と言った社内の風潮が、顧客を「被害者化」したと訴えている。

 

 銀行はカルフォルニア支店では、達成が困難な売上目標を設定し、行員が不正行為を行うように仕向ける状況をつくったとしている。この訴訟を始め、顧客による集団訴訟は全米の各州で広がる可能性が高い。金融機関にとって最も重要な、「顧客重視」より「社員重視」となった今回の犯罪は「大きすぎて潰せない」又は「大きすぎて逮捕できない」銀行の特徴とも言える。